子どもに生きる力をつけるために大人ができること

 

10月19日、横浜市幼稚園の教員研修会に先生たちと一緒に参加してきました。

「子どもに生きる力をつけるために大人ができること 〜幼児教育の大切な2つの目標とは〜」がテーマの、神奈川区西大口にある横浜創英中学・高等学校の工藤勇一校長先生による講演でした。4年前まで千代田区麹町中学校の校長先生で、麹町中での取り組みが話題になりご存知の方もいらっしゃるかと思います。

まず、世界と日本の現状についてのお話がありました。1989年、株式時価総額ランキングで、世界上位20社中14社が日本企業でしたが、2023年、世界上位50社に日本企業はトヨタ1社となりました。明治維新以降から2004年(1億2784万人)まで人口が急激に上昇した日本でしたが、2004年を境に急激な人口減少と高齢化の流れとなり、2022年には1億2494万人の人口が、2050年には約9,500万人、2100年には約4,800万人まで人口が減少すると予想されています。

また、日本は幸福度・自己肯定感・当事者意識が低いということも研究でわかっていて、日本が危機的な状況にあり、このままではいけないということを再認識しました。

日本が下降路線をたどっていると、これまでの教育にも疑問符がつくようになりました。与え続ける教育、規律や集団行動を重視した教育を受けてきたことで、もともと子どもが生まれながらに持っている主体性は失われ、自律できず、不幸な気持ちになってきているということでした。

デンマークは、40年前まで日本と同じような教育を行い、社会構造も似ている国でしたが、40年前に子どもを1人の人間として平等に考え、子どもを尊重する教育を徹底するよう転換したところ、幼児教育の水準が高まりました。デンマークの幸福度が高くなったのは、教育の質が高いことと関わりが深いようです。デンマークのように、従来の教育モデルから転換する先にあるのは自律型の教育で、自律する力を育てるには「心理的安全性」「自己決定」というヒントももらいました。子どもにとって失敗が許される環境であることが重要で、たとえ失敗したとしても、大人が結果ではなく過程を大事にするということ、自己決定したことを尊重していくことだそうです。

日本でも、徐々に子どもの主体性を大切にした保育や教育が浸透し始めています。子ども中心の保育・教育を受ける子どもたちが増えてくれば社会は変わるのではないかと思いましたし、子ども主体の保育を実践するためには、保育者が学びを深めより高い専門性を持って保育をしていくことになります。

最後にとても印象に残ったお話がありましたので紹介して終わりにします。工藤先生は中学入試の説明会で、お子さんが18歳になった時、「どこの大学入ればいいの?」って親に聞く子と、「〇〇大学に入って〇〇を学ぶ、〇〇を目指す」と自分で決める子。どちらがいいでしょうか?と投げかけるそうです。私は後者の自己決定できる方がいいなと思いました。

人の力を上手に借りながら自分の力で歩んでいくことができるように支援することが、子育てや幼児教育にも大切だということを再確認しました。子どもが生まれながらに持っている主体性を幼児期には大切に育んでいきたいなと思いました。

副園長 木元健太郎 【こうがやだより11月号より】