こうがやだより 10月号のお話

小さな生命(いのち)の成長を祈って

8月に開催された甲子園では、慶應義塾高校が久しぶりに神奈川県勢として優勝しました。県民にとって大変嬉しいニュースでしたね。慶応の応援の声が大き過ぎると話題になっていましたが、ふと10数年前に神奈川県大会の息子たちの出場に心躍らせ、チームの頑張りにスタンドから大声を張り上げて応援していたことを思い出しました。その時は夢中だったなぁ…。高校野球と同じくプロ野球も地元のチーム・横浜ベイスターズを応援してます。先日、横浜スタジアムでクライマックスシリーズへの切符を争う巨人戦を観戦しました。さすがと感心しながらも、私はプロ野球より甲子園の高校野球の方が好きみたいです。夏、試合後にグラウンドに座り込んで甲子園の土を集める球児の姿に、高校野球は終わったけれど野球と同じくらい打ち込めるものを見つけてこれからも頑張ってほしいな、と彼らの人生に心の中でエールを送っています。

コロナが5類になった今年、小学生全学年を招待してのホームカミングデイを9月9日(土)に行いました。野球やサッカーのユニフォームの少年は練習の前に遊びに来てくれ、久しぶりに会った卒園生は背も高く立派になっていました。先生たちにとって卒園生が成長した姿を見せに来てくれることはこの上ない喜びです。産休中や退職した先生たちも赤ちゃんを抱っこして元気な顔を見せに来てくれ、先生たちも同窓会のように昔話に花が咲いて賑やかでした。以前は結婚や出産を機に退職する先生もいましたが、今は産休・育休を取得するのが当たり前になり、子育てを経験してまた現場に復帰してくださる方が多くなりました。赤ちゃんを抱いて幼稚園を訪れてくれることは私にとって娘たちが里帰りしてくれたような喜びであり、赤ちゃんが無事に産まれ健やかに育ち我が子を抱く幸せな母としての様子に安堵します。いろいろなことを乗り越えている笑顔の下に母親としての逞しさも感じます。妊娠・出産は女性にとって大きな人生の出来事です。順風満帆なことばかりではなく、予定より早く生まれてNICUに毎日母乳を絞って届けた話は複数の人から聞きましたし、最近では出産直前にコロナに感染したことなども聞きました。

今回、夏休み中に幼稚園大会が開催されその基調講演で、神奈川県立こども医療センター周産期医療センター長の豊島勝昭先生のお話を伺いました。「NICU命の授業 ~子供達とご家族の生きづらさの緩和を目指して~」というテーマでした。豊島Dr.は数年前に放映されたドラマ「コウノドリ」の撮影協力・監修などを務めた方です。今回のご講演では医療現場での辛い場面に立ち会ってきた経験と、ドラマの場面を交えてお話しいただき、体重500gあればNICUの中でなんとか成長し生活を送ることができることや、18トリソミー症候群のお子さんの出産後にご両親が重大な決断を迫られることなど、これまで全く知らなかったことばかりでした。医療的ケアが必要なお子さんやご家族が大勢いらっしゃること、NICUが不足していること、医師・看護師・助産師さんなど多くの医療技術者が子どもの命を救うために、文字通り日夜心を砕いていらっしゃることを学ぶことができました。

ブログ「がんばれ!小さき生命(いのち)たちよ Ver.2」では、新生児医療・NICUで頑張る早産・低体重、様々な疾患の赤ちゃんとご家族の応援をしています。(このようなブログもご興味があればご覧ください)

一人ひとりの誕生にドラマがあり、大きくなった子どもたちが、さらに大きく成長する姿を、9月30日の運動会をはじめ2学期の行事で見ていただくことが出来ます。9月の残暑は厳しく熱中症の危険があったため、園庭で長時間の運動会の練習はせず、バルーンなどはホールで、リレーは外でなるべく短時間で、など練習も工夫して行いました。子どもたちの意欲を育てながら楽しい運動会になりますよう先生たちは子どもたちと一緒に頑張っています。どうぞ、皆様、子どもたちに沢山の拍手と声援をお願いいたします。

園長 木元佳代子