最近、「日本の教育は大学から変わり始め、その流れが少しずつ高校・中学校・小学校、そして幼児教育へと広がっていく」という話を耳にしました。確かに大学入試が変われば高校の学び方が変わり、その影響がだんだん下の校種にも伝わっていくことは容易に想像できます。
現実には、幼児期には「遊びを大切に」と言われていても、小学校に入った途端に「学習モード」に切り替わってしまうということもあり、つい「勉強は大丈夫かしら?」と心配になってしまうこともあるかもしれません。だからこそ、幼稚園での学びと小学校での学びをできるだけスムーズにつなげていくことが大切だと思っています。最近では、全国的にも「幼児期から小学校への学びの連続性」を意識した取り組みが広がってきています。
「遊びの大切さ」は新しい考えではありません
「遊びの大切さ」は、最近になって言われ始めたものではありません。平成元年(1989年)の幼稚園教育要領の改訂の時点で、すでに「幼児期にふさわしい生活の中で、遊びを通して総合的に学んでいくことが大切」と記されていました。ただし、教育要領が変わっても現場や幼児教育を取り巻く人々の意識や文化はなかなか変わりませんでした。しかし今、変革の兆しが大学からだけでなく、幼児教育の現場からも見受けられるようになってきています。幸ヶ谷幼稚園としても、今を生きる子どもたちの姿を見つめながら「遊びの価値」を丁寧に伝え続けていくことが大切だと考えています。
社会の変化とこれからの学び
少子化の影響もあり、大学入試も「ふるい落とす」より「どのような学びをしてきたか」を重視する方向に変わってきています。これからは知識を暗記するだけでなく、「どうして?」「なぜ?」と自分で問いを立て、工夫しながら答えを探していく学びが重要になります。
その出発点こそが、幼児期の遊びなのです。遊びの中で子どもたちは、試行錯誤したり、判断したり、工夫したりする力を自然に育んでいます。そこには粘り強さや自己調整力、協働する姿勢といった、これからの学びに欠かせない力も含まれています。
徐々に変わり始めている日本の教育。確かなことは、子どもたちの遊びが未来の学びにつながっているということです。だからこそ私たち大人は、子どもたちが今しかできない「遊び」を価値あるものとして受け止め、支えていくことが重要です。それこそが、これからの教育、そして日本を支えていく子どもたちの成長への大きな支えになるのです。ぜひお子さんとの遊びを一緒に楽しんでみてください。
副園長 木元健太郎